独立行政法人 国立青少年教育振興機構では,子どもの頃の体験(幼児期から義務教育修了までの各年齢期における多様な体験)と体験の力(得られる資質・能力)の関係性を把握し,学校や地域,家庭において,どの年齢期にどういった体験が重要になるのかを明らかにする調査を行いました。
(調査方法)
・成人(20 代~60代)対象のウェブ調査
・青少年(小学5年生・6年生,中学2年生,高校2年生)対象の質問紙調査
それぞれ得られた回答を得点化して,子どもの頃の体験と「体験の力」の関係をみる。
「成人調査」では、「子どもの頃の体験が豊富な人」ほど次のような傾向があらわれることが分かりました。子どもの頃の体験は大人になっても影響を及ぼすことが想定できます。
(1)子どもの頃の「自然体験」「友だちとの遊び」「地域活動」等の体験が豊富な人ほど、次の割合が高い傾向がみられる。
・「経験したことのないことには何でもチャレンジしてみたい」といった「意欲・関心」
・「電車やバスに乗ったときお年寄りや身体の不自由な人には席をゆずろうと思う」といった「規範意識」
・「友だちに相談されることがよくある」といった「人間関係能力」
(2)子どもの頃の体験が豊富な人ほど,次の割合が高い傾向がみられる。
・最終学歴が「大学や大学院」
・現在の年収が高い
・1ヶ月に読む本の冊数が多い
・結婚している人が多い
・子どもの数が多い
(1)「丁寧な言葉を使うことができる」といった「文化的作法・教養」が高い。
(2)「文化的作法・教養」5項目は体験の6つのカテゴリすべてと幅広く関係している。
※体験のカテゴリ:「自然体験」・「動植物とのかかわり」・「友だちとの遊び」・「地域 活動」・「家族行事」・「家事手伝い」
(1)小学校低学年までは「友だちとの遊び」や「動植物とのかかわり」等
(2)小学校高学年から中学校までは「地域活動」や「家事手伝い」,「家族行事」,「自然体験」等
(1)若い世代ほど少ないもの
・「夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見たこと」といった「自然体験」
・「すもうやおしくらまんじゅうをしたこと」といった「友だちとの遊び」
(2)若い世代ほど増えているもの
・幼少期での「家族の誕生日を祝ったこと」といった「家族行事」
(3)世代が上がるほど高まるもの
・「規範意識」,「人間関係能力」,「職業意識」,「文化的作法・教養」等
この調査結果は、「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書(平成22 年10月)としてまとまっています。その内容は以下のWEBページでご覧いただけます。ぜひご覧下さい。